HOME > お知らせ

お知らせnews

【院長コラム掲載】「まだ大丈夫」が一番危ない — かかりつけ医を見つけよう

当院の院長・谷川健が執筆した医療コラムが掲載されましたのでご紹介いたします。

「もし一人でいるときに体調を崩したら……」 「最近少し食が細くなったけれど、歳のせいかな」

日々の生活の中で、このようなちょっとした変化や不安を感じることはありませんか?

今回のコラムでは、「まだ大丈夫」とがまんしてしまいがちな体調や生活の小さな変化(フレイルの兆候など)について、そしてそれらを早期に相談できる「かかりつけ医」の大切さについて分かりやすく解説しています。

病気の治療だけでなく、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるための医療や介護へのつながりについても触れています。

ぜひ、ご一読ください。

かかりつけ医を見つけよう

「まだ大丈夫」が一番危ない

「もし1人でいる時に、ある日突然体調を崩したらどうしよう」「年齢を重ねても、この家で暮らし続けられるだろうか」。このような思いが、ふと頭をよぎったことはありませんか。少子高齢化が進む現在、1人暮らしや高齢夫婦のみの世帯は年々増えています。住み慣れた地域や自宅で暮らし続けたいという願いは、多くの方に共通するものです。

外来で高齢の患者さんから、よく耳にする言葉があります。「まだ大丈夫だから」。最近少し食欲が落ちた、歩くのが遅くなった、転びそうになることが増えた、薬の飲み忘れが目立つようになった。それでも「年のせいだから」と受診を先延ばしにしたり、家族にも話さず我慢したりする方は少なくありません。

しかし、こうした小さな変化こそが、体からの大切なサインであることがあリます。高齢になると、一つの病気だけでなく、筋力や体力の低下、栄養状態、認知機能、生活環境など、さまざまな要因が重なって体調は変化します。病気だけが原因とは限らず、「暮らし」の変化が健康に影響していることも少なくありません。

最近では「フレイル(加齢により心身が衰え、要介護直前の状態)」という言葉も知られるようになりました。食欲が落ちる、歩く速度が遅くなる、人と会う機会が減るなどの変化は、早めに気づき対策を始めることで改善が期待できます。「年のせい」と決めつけないことが、健康寿命を延ばす第一歩です。

通院が難しくなっても、住み慣れた家で暮らし続けられる可能性があります。地域には、医療だけでなく介護や福祉も含めて生活を支える仕組みがあります。訪問診療(24時間365日対応の在宅医療)や訪問看護、ケアマネジャー、ヘルパー、薬剤師など、多くの専門職が一つのチームとなり、その人らしい暮らしを支えています。

その入り口となるのが「かかりつけ医」です。かかりつけ医は病気を治療するだけではありません。「最近少し痩せましたね」「歩くのがゆっくりになりましたね」「薬は飲めていますか」といった日頃の小さな変化に気づき、必要に応じて介護や福祉へつなぐ橋渡し役も担っています。生活が大きく変わる前に支援を始められることは、地域医療の大きな役割です。

「相談するほどではないと思っていました」。これも診察室でよく聞く言葉です。しかし振り返ると、その時点で相談していただければ、もっと安心して自宅の生活を続けられたのではないかと思う場面を、数多く経験してきました。

体調だけではありません。外出がおっくうになった、買い物が大変になった、食事を作るのが負担になった―。そんな日常の小さな変化も、大切な相談のきっかけです。

地域医療は病気を診るだけではなく、その人らしい暮らしを支えます。身近なかかりつけ医は、病気だけでなく、皆さんの「これからの暮らし」を一緒に考える存在でもあります。困ってからではなく、困りそうになった時こそまずはかかりつけ医に相談してみてください。

「ドクターズアイ」は、長崎市医師会の協力で県内の医師による寄稿を掲載しています。」